裏路地を進む

散歩が趣味の人の気持ちがわかるようになった。

大人になったからなのか、暇な時間が増えたからなのか、はたまた散歩がいいといろんな本に書いてあるからなのか。真実は歩いて見つけるとしよう。

散歩するときに、大通りを歩きたく無いのだが、気持ちわかる手挙げて?

こいつは何を目的に歩いてるんだ?ふらふらわき見ばっかりしやがって。とすれ違うスーツのおっさんや買い物終わりのおばさんに見られている気がしてならない。

これが散歩だと理解されないから、一本裏路地を通ることが多い。

裏路地を通ると、さっきの店の裏側にこんなカフェがあったのか、とか。この牛丼屋の裏口きったね。と気づかなくてもいいことも気づくこともある。

コロナになる前はよく旅に出てた。大人数よりも少数精鋭で行くのが好きなので、一人とか二人とかでよく出かけていて、決まって歩くのは裏路地だった。

あんまり綺麗ではないけれど、悪くない、と思う。

こないだは、窓から見える中に洗濯物が干してあるな、と思ったら真っ黒な女性の下着だった。急いで目を逸らしてもう一度見た。

裏路地にはよく犬がいる。

小学生の頃、近所の幼馴染のミクちゃんの家にハナという犬がいた。ミクちゃんが普通に近づいて撫でても大人しくしていたので真似して近づくと、すごい剣幕でこちらに吠えた。

極め付けに、家の玄関を開けると、前からハナが全速力でこちらに走ってくると言う恐怖体験をした。走るのには自信があったので走って逃げたが、足がうまく回らず自分の足の遅さに絶望して足が遅いと思うようになった。

結局ハナは違う方向へ全速力で駆け抜けた。尻尾を振っているのが見えた。

裏路地の犬は人懐っこい、気がするだけかもしれない。でも怖いから友達のように撫でたりなんてもってのほか。本気出したらお前より強いぞ、と目で威嚇し逃げることにしている。

犬が苦手だ。犬派か猫派か聞かれると犬派と言うことにしているが。

あのドキドキ感は、海外を旅する時のドキドキと酷似している。

知らない言葉、見慣れない乗り物、大麻を進めてくる変な人、噛まれたらやばそうな犬、あのどれもがドキドキする。そんなドキドキを味わえるのが、散歩。そして裏路地。

日常に刺激を求めているのかもしれない。

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そして会社員はつづく
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